観るものと、生活の日記

毛皮族「銭は君」

毛皮族「銭は君」
★★★☆☆


2005年8月7日14:00 於:IMPホール

作・演出:江本純子

出演者:江本純子 町田マリー 澤田育子 柿丸美智恵 富岡晃一郎 金子清文 羽鳥名美子 高野ゆらこ 平野由紀 延増静美 武田裕子 高田郁恵 水町香奈恵


(あらすじ)

よく覚えてないし話も把握してないんですけど(笑)

自称元ミュージカル女優で今は乞食の女性【江本】が、路上出産。その子が後の銭原こと安田?【江本】。彼は、あちこちの遊郭やクラブに出入りし光源氏並にモテる。内実は借金まみれ。金目当てで女性と付き合い、用がなければ捨てていた。
一方遊郭で生まれたのかどういう訳か分からないが、平安貴族のような格好で育った柏木【町田】「笑いで人を救いたい」として、芸人ゼニー北川【金子】の弟子になりサンキュー柏木と名乗る。しかし、「僕は笑いの神様になる」と言うばかりで、何か面白い事がいえる訳ではない。銭原に捨てられ自殺を図ろうとしていたイキウメ【羽鳥】を、笑えないネタで死ぬ気を失わせたことで、2人は付き合い始める。

安田が借金まみれになったのは、演劇をはじめたからだった。当時の恋人【澤村】やその仲間に「出演料を払うから」と言って、協力を依頼。しかし出演料が払えるほどの利益は出ず、迫られて仕方なく借金。その後も演劇熱はおさまらずに借金を繰り返し、どうしようもないところまで来ていた。

柏木は教会だか孤児院だかのシスターに懺悔を請いにくる。「笑いの神様は僕だけだ」と自分を特別視するあまりおかしくなり、ゼニー北川を殺し、イキウメを生き埋めにしたという。柏木はあまり反省している様子でもなかったが、シスターに諌められ、自首する事にする。

全体に歌やダンスがちりばめられ、ミュージカル調だったり、ロック調だったり。遊郭のセットや衣装など豪華。ラストはローラースケートで「すりガラスの20代」繰り返し。

(全体感)


全体に、荒削りで、歌も踊りも上手くはなく、台詞も聴き取りづらく、失敗も多くて…。技術面では、全然未熟なんですよね。だけどすごい勢いとパワー。華やかでカッコよくて憧れてしまう。「下手でも何でも、ここまで勢いよくやってしまうのが素晴らしい」と思わられました。荒削りだからこそ、よけい魅力的なのかもしれません。「やりたいこと、やりたいようにやればいいんじゃん」って感じ。裏では捨て身でも崖ップチでもアザだらけでも何でも「すきなことをすきにやっている姿はカッコいい」んですよね。

 話は「笑いの神様になる」とかいう少年も出てくるし一見コメディ風。しかし笑えるところは少なかったです。誰か脱ぐたびなぜか大笑いする中年女性のお客さん(しょっちゅう笑ってたのはその人たちだけ)がいて、そっちが面白かったり。私が笑えたのって多分段取り失敗してやりなおしになった時だけでした。

印象に残ったのは「金は出す方より取る方が立場が上」みたいな台詞。フツーは逆のはずが、説得力があるのはなぜ?

江本さんは、演劇のため借金をかさねた男を演じていましたが、実際毛皮族も借金だらけだそう。 セットも衣装も豪華。今回も大赤字覚悟でしょうか。客に対して感じがいい訳ではなく「とにかく何か物を買って金を落としていてくれ」という態度だったけど(苦笑)、しかし体をはってお金もつぎこんで、カーテンコールにも何度も答えて繰り返し歌いまくり踊りまくり。体をはったサービス精神。早く大きくなる劇団はやはりどっか違うのかも、とか思わされました。

(細かい感想)

時間ぎりぎりにIMPホールへ駆け込むと、女性を2人従えた江本さんが台本のオークションを。女性はTシャツに下着。江本さんは大佐のような服装でえらくカッコいい。

芝居がはじまると、突然うってかわって女役の江本さんに唖然。大きなお腹、白いヒラヒラドレスにアンブレラ、長いウェーブヘアーで「雨にうたえば」。歌もダンスも半端(笑)で、お笑いっぽい雰囲気。破水が1度で上手くいかずにやりなおし。
出産後、遊郭シーン。「¥」マークのある神社風の立派なセット。しどけなく着物を着た遊女たちが、笑いながら自転車を走らせている光景は魅力的で、期待感たかまりました。

男役の江本さん、金を出さずとも遊女が向こうから寄ってくるモテまくりの役。男優もいるのに十分男に見えました。女優とのキスシーンは豪快だし、ローラースケートで歌いながら疾走しポーズを決められるし、やっぱりカッコいい。

少年役の町田マリーさん。どこで育ったのか、平安貴族男子な格好。十二単を着て幼馴染の女役富岡さんに、「笑いで人を救う決心」を話します。といって、面白いことは1回もいわない。実現のため、まずはクラブのボーイになるんだけど、ボーイ姿も似合ってって小柄で可愛い。 「ぼくは笑いの神様なんだ」とか言ってつっぱしる少年の危なさが出てました。目力強いし、よく目立ってダンスも上手く、看板女優と呼ばれてるのが分かる感じ。 しかし「ゼニー北川」だの「サンキュー柏木」だの名付けセンスや、「炭鉱夫だった父の話」とかが昭和風。

大活躍していた澤村育子さん。性別不詳のパンキッシュな役どころで、長台詞に捨て身の演技。カカッと脱いで「澤村育子 祝・初脱ぎ、初ニップレス」の垂れ幕に挟まれて階段に倒れこむシーンが美しかったです。初とは何だか意外。若い女優たちに「ほらほら、子役は向こういって!」とか言う辺り姐さんっぽい。

 謎めいていた柿丸美智恵さん。写真などで見ると大人の雰囲気あるきれいな女性ですが、舞台上では年齢(性別も時々)不詳。声とか小さいんです。枯れぎみだし聞き取れないほど。しかし、なにやら不思議な味わいがある人でした。 特にクラブのママ役で、従業員に乾いた口調でグチってたり、北川のパーティに花を抱えて「こんばんみー。呼ばれてないのに来ちゃったぁ~」と気だるく現れる辺りとか、やけに印象に残ってます。シスター役でも、変に説得力ありました。

ほかは突如スキンヘッドで激しく歌いだしたロッカー高野さん、みょうに女役が似合っていたお笑い系の富岡さん、1人顔色悪かった金子さんらも目立つ存在で、他の女優さんたちは色んな意味で「わかーい」感じでした。きれいでステキなんだけど、集団ニップレスをみたときなぜか違和感。雰囲気や体型がみんな似てるからかなぁ。太いのとか細ーいのとか大小色々まじってても面白いかもしれない。

(おまけ)

ちなみにカーテンコールのラストには、ジュンリーから、前に出てきて写メール・写生の許可が出たんで、私も座席から写メりましたが、乱反射。
物販には、役者さんらも出没し、「あれを買え、これを買ってくれ」と銭合戦。 私は、ジュンリーデザインのピンクTシャツを買い、変なデザインのティッシュBOX もつけてもらいました。近くにマリーさんいたのに隣のスタッフの人から購入に。


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